カテゴリ「80分前後‏」に属する投稿[6件]

原題:Отрыв
85分

 浮かれた若者らが集まり、もう営業時間外で稼働していないゴンドラリフトに乗ろうとする。しかし当然ながらそのままでは乗れず、賄賂を渡すことでゴンドラに乗せてもらえることになった。ただ運悪く操縦士はおっちょこちょいだった。賄賂につられてしまったせいでうっかり自身も吊られてしまうこととなり、ゴンドラも止まってしまう。高所で箱に閉じ込められてしまった若者らは救助を待つのだが……。

 割とありきたりなシチュエーションホラーまたはスリラー。ほぼ同様の展開を見せる映画としては2010年公開のフローズンがある。こちらはゴンドラですらなくチェアリフトで、もっと危険度が高い。単純な高低差でいえば本作の方が恐ろしいものの、分厚い鉄板に囲まれていると思えば安心感は段違いだろう。そんな違いはさておき、肝心の内容についてはどちらも微妙だ。良くも悪くもB級映画。娯楽重視の低予算映画でしかなかった。

 登場人物は全員どこかおかしいというか、悪い意味で最近の若者らしい性格をしている。危機感もなく自分勝手な振る舞いに無軌道な言動に行動。そりゃ助からんわと納得してしまうような姿ばかり見せられる。主人公でヒロインのカーチャは美人でウェアから伝わる膨らみにもぐっとくる……が、それだけ。魅力的な外見のよくいる女性。それなのにそこら辺の男性より強いんじゃないかと驚く場面が多い。男性ならまだ少しは納得もできるが……。

 寒がっている女性に上着を貸したり、雪山よりも上空にある高所で指は剥き出しのままでも寒さを微塵も感じていなかったり、腕にロープが巻き付いて数人分の体重が掛かっても少し痛そうな表情で済んだり……とまあ彼女は妙に強く冷静である。ところが割と重要な場面で冷静さを欠いて判断を誤ってしまう。そのせいでせっかくのチャンスを無駄にするわ騒動に発展するわで、都合良く脚本通りに動かされているという印象が強かった。

 この映画はわざわざ観なくともいいだろう。どうせ観るならまだフローズンの方を観た方がいい。映画としての面白さでいえばあちらの方が遥かに上だ。まだリアリティもあり、本作よりは人物のやりとりで苛立つこともないだろう。それでも気になるという方がいれば、カーチャの顔や胸を楽しむ映画だと考えておこう。BGMの使い方やあまり効果的といえないカットに苦痛を感じたら止めておいた方がいい。面白い映画はいくらでもあるのだから。

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原題:Babysitting
85分

 待ちに待った誕生日。パーティーを目前に控えたその日、フランクは社長から声を掛けられる。さて何かと思えば息子の子守を頼みたいと言う。パーティー当日に子供の面倒なんて……とフランクは断ろうとするが、ある約束と引き換えに子守を引き受けるのだった。しかし息子のレミは今時といえば今時な子供で、割と面倒な性格をしていた。更にただでさえ子守で苦労しているフランクの元にパーティーを強行しようとする友人らが迫り……。

 なんらかのトラブルが起こって、それが何だったのかを振り返る。『ハングオーバー!シリーズ 』を思い出す構成ではあるが、あそこまでぶっ飛んではいない。謎解きのようなものもなく、最後まで観てみれば全く違う映画だと分かる。シティーハンター経由でフィリップ・ラショーに興味を持って見たわけだが、妙なタイトルで敬遠せずに観て良かった。人を選ぶシーンは多いものの、エロにしたってエロすぎない。表現の仕方がマイルドなのである。

 登場人物の癖も控えめで、観ていて疲れる人や現実離れしすぎて興醒めしてしまうような人も居ない。もしかしたらこんなこともありえるかもしれない……? と思える範囲で馬鹿をやっているような映画(とはいっても日本人の持つ海外のイメージだけども)で、笑いを取りつつも家族の絆や愛というものを描いてくれるのは凄い。監督は2人居るとは言え、これが監督デビュー作だというのだから恐れ入る。尊敬どころか嫉妬すら覚えるほどだ。

 フランクも途中でやらかしてはいる。しかし元凶は悪乗りが過ぎた友人たちである。なんとかしようともがきつつも意中の人と愛を育みたいフランク。父にもっと構ってもらいたいレミ。物語の鍵となる人物の根がまともで色んな意味で良い性格をしているおかげで、多少妙なことになろうともどこか清々しく、視聴後の爽快感や充実感にも繋がっている。割とおばかでちょっと感動な本作は、ちょうど今のような蒸し暑い時期に観て欲しい。#[ヒャッハー!シリーズ ]

865文字 編集

原題:Escape Room
81分

 謎の密室で必死に箱を開けようとする男が居た。彼は叫びながらもどうにか箱を開けると、中に入っていた鍵を鍵穴へと挿した。しかし何かを間違えていたのか、太い針が飛びでてきてしまい、彼は手に傷を負ってしまう。針には毒でも塗っていたのだろう。彼は次第に様子がおかしくなり、息絶えてしまった。場面は変わり、誕生日に浮かれる男女が映し出される。彼らは脱出ゲームに参加することになるのだが……。

 この書き出しで大体の人は「ああSAWとかキューブ みたいなやつかな?」と考えるだろう。その発想自体に間違いはなく、正解と言える。しかしなかなかメインの謎解きは始まらず、割と退屈な時間(というか尺稼ぎにしか思えないシーン)が続く。それからようやく謎解きが必要なシーンへと切り替わっていくのだが、観客へのヒントは少ない。どんな謎解きだろうと考えていたら謎を解かれてしまうような印象を受けた。

 これは例え話だが壁に二足歩行の人間と四足歩行の馬が描かれていたとする。そして扉には四桁の数字を入力するパネルが付いていた。そんなシーンが映し出されたら観客はまず数字の意味を考える。四桁になるものは何か。ヒントはあったか。そこで壁の絵に気付き、人間と馬の違いについて考える。「そうだ、人間は手と足。馬は全て足だ。2と4。これを絵の順でそのまま入力すると0204だ!」といったところか。

 この閃きまでの時間とヒントが欠けているというか、見せ方が地味すぎるとでもいえばいいのか……彼らが謎を解いていってもいまいちしっくりこないのだ。それぞれの得意分野があり、個々に活躍の場面がある程度設けられているのも悪くない。しかしそのせいで全員が普通の人とは違う特殊な人に見えてしまい、割と脱出ゲームが始まった直後からどこか醒めた目で彼らの姿を俯瞰していた。

 謎解き自体は悪くない。展開もまあいい。少しばかりのグロとエロも魅力がないわけじゃない。内容は尖っているが、どれもこれもよくて70点といったところで売りが欠けていた。顧客の要望を満たした最低限販売可能な商品とでもいうべきか、何かを切り捨ててでももっと独自性を出すべきだったとでもいおうか……なんともまあ残念な作品である。例えるなら本作はお湯を入れすぎたカップ麺だ。ジャンキーだが味は薄い。

※追記
 同名の映画が3本あり、この映画は恐らく一番微妙な映画だろう。もっとも古く(2017年)、B級要素が強い本作。翌年の2018年に公開されたのは死刑囚が主役の作品。そして最も評価が高く、続編も作られているのが2020年のエスケープ・ルーム。どれも脱出ゲームだが、どうせ観るのなら評判が少しでもいい方を観た方がいいだろう。

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原題:Re-Animator
85分

 ハーバート・ウェストは非常に優秀な科学者である。どこでどうやってそんな知識や技術を身に付けたのかは不明だが、彼は死者を蘇生させる血清を作り上げてしまったのだ。もちろん彼を信じるのは難しく、ダンも信じてはいなかった。しかし実際に死体を蘇らせてしまう姿を見てしまい、ダンも興味を抱いてしまう。猫だけで済めばまだ良かったのだが、幸か不幸か彼らの身近にはいくつもの死体があり、実験には最適な環境が揃っていた。

 死んだ生物をもう一度生き返らせる。そんなファンタジーを題材にした本作はB級でありコメディでもある。けれどもジェフリー・コムズ演じるハーバート・ウェストには狂気と普通ではない雰囲気が出ており、馬鹿馬鹿しさと共に妙なリアリティが生まれている。きっと現実でマッドドクターのニュースが出る度に、私は彼の顔を思い浮かべてしまうのだろう。真面目そうでまともじゃないオーラを纏う不気味な笑顔を……。

 B級スプラッターとしては文句の付けようがない映画で、割と可愛い女優の裸体が出てくる辺りもそれらしい。しかしウェストは色々と勿体ない男だ。実験第一で物事が見えなくなるのは仕方ないが、彼にはイフを考える力が欠けていた。頭なら頭だけ、体なら体だけと実験対象は分けておくべきで、それぞれと真正面から向き合うべきだ。好奇心に負けて死体から目を背けてしまったばかりに苦労してしまった。

 本作はクトゥルフ神話で知られるラヴクラフトのホラー小説が題材となっているが、そちらには目を通していない。元々彼はどこか抜けている人物なのか、それとも映画の展開を考えるにあたって隙を作ってしまったのか。そこだけでも知りたいのだが、そのためだけに中途半端な巻からラヴクラフト全集を買うのも微妙だ。果たして彼は希代の天才か、または奇跡を起こした馬鹿か。しばらく悩みは尽きそうにない。#[死霊のしたたりシリーズ]

825文字 編集

原題:The Blair Witch Project
81分

 今となってはそこまで珍しくもないモキュメンタリー・POVの大ヒット作。ドキュメンタリー映画を撮影しに、伝説の魔女がいるという森の中へ向かい、そのまま失踪してしまった学生たち。彼らのビデオ映像を編集し、そのまま映画化した――という内容になっている。正直に言ってしまうと企画や話題性ありきで、今見ると驚きはない作品だろう。

 学生という設定もあり、彼らのインタビュー映像やふざけている姿は洗練されていない。ひたすら他人のホームビデオを見せられているような気分にもなるが、その素人臭さがなければこの作品は成り立たない。もしこれが事実だとしたら、これには一体どんな理由があったのか……と考えるような、陰謀論や考察が好きな者には今でも面白い映画なのかもしれない。

 もし本作がヒットしていなければ、今頃はB級映画ファンがたまに思い出す程度の扱いだったかもしれない。ただ本作はヒットした。ヒットしてしまったおかげで記憶に残り、ヒットしてしまったせいで一定の評価も得てしまった。決して悪い映画ではないが眠気を誘い、ホラーを期待して肩透かしにもあう。話題作だからと期待せずに、軽い気持ちで観た方がいいだろう。

547文字 編集

原題: Lights Out
81分

 暗闇でしか姿を維持できない化け物に怯えるホラー映画。元は動画共有サイトで公開されている短編作品であり、下手に尺を伸ばしても蛇足にしかならない逆境を見事乗り越えている。日常と状況の変化、設定の掘り下げによって世界観は深まり、闇が広がる恐怖を味わえた。ただ、ベタではあるがオチの恐怖(化け物にも見える影がちらつく等)も欲しかった。

191文字 編集

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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