カテゴリ「140分前後」に属する投稿[5件]

原題:A.I. Artificial Intelligence
146分

 未来の世界ではロボットが一般的となり、社会に溶け込んでいた。ある製造会社で働く家庭にも最新の少年型ロボットが送られることになり、その夫婦は戸惑いつつも彼――デイビットを受け入れる。しかし本当の息子が不治の病から快復し、お互いに母であるモニカの愛情を欲するようになる。より人間らしさを追求した結果の行動ではあったが、人間らしくなるにつれてトラブルにも巻き込まれやすくなり、棄てられてしまうのだった。

 人間となって人間のように愛されたいロボットがどうやったら人間になれるのかと考え、行動する。ロボットを題材として扱う作品としては普遍的なテーマではあるが、退屈でありきたりな展開はそう多くない。眠たくなるようなシーンは序盤程度で、人によっては試練のようにも思えるだろう。けれども序盤のシーンを乗り越えれば後は目まぐるしく移り変わる映像や展開を楽しめる。

 キューブリックらしい内容は個人的にも嬉しいのだが、監督はスピルバーグ。だからか所々の表現はマイルドになっている気もするし、映像の美しさも若干物足りなく感じる。映像も演出も悪くない。名作だと断言もできる。だが違う。私が求めているのはキューブリックが撮ったA.I.だった。しかし彼じゃなかったからこそ、多くの人から好かれる映画にもなれたのだろう。彼の才能を知らしめる作品としての価値は高い。

 登場人物自体はそれなりなものの、主要人物は少ない。セクシーでキュートなジュード・ロウが演じるジゴロ・ジョーが目立つせいか、登場人物(どちらも人間ではないが)は2人だけだったんじゃないかという気さえする。それでも飽きずに見ていられるのは監督の実力だろう。キューブリックじゃないのは残念だが、代わりに監督をしたのがスピルバーグで良かったと言える。愛について思うところがある人にぜひ一度観て欲しい。

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原題:Cast Away
144分

 人一倍仕事熱心なチャック・ノーランドは誰よりも動き回り、誰よりも生産性の向上に努めている。荷物が届くまでの時間がどれくらいかを伝えるためにカウントしたままタイマーを送ってみたり、作業時間を従業員に意識させるべく何度も残り時間を口にする。また彼を必要とする者からの連絡があり、チャックは貨物機に乗って現地へと向かう。しかし貨物機は墜落してしまい、彼は無人島に漂着するのであった。

 無人島で生きていくのは非常に辛い。もちろんそんな経験はないが、無人島なんてものは今の便利さに満ちた世界とは対極にある世界だ。火も水もなく、満足な食料もない。幸いにもチャックが辿り着いた島にはココナッツがあり、海には魚も居た。しかしそれだけだ。よほどの偏食でなければ満たされることはなく、常に同じものしか食べられないとなれば嫌にもなるだろう。それに全てが生では温もりもありゃしない。

 最後まで火が使えないのかといえばそれは嘘になるが、チャックが満足に火を扱えるようになるまでには少し掛かる。その間は生のココナッツジュースと果肉。それと生の魚にカニ程度なものだ。精神的に強くなければとてもじゃないが耐えられそうにない。サバイバル生活をするベア・グリルスやエド・スタフォードの姿を見ているのは楽しいが、一生同じような生活をしろと言われても困るのだ。恐らく一週間保てばいい方だろう。

 サバイバル映画のイメージだと大半の人は結末で救助を想像するものだと思われるが、本作は救助された後のストーリーまで描かれている。よくよく考えれば当然ではあるが、救助されたからといってその人の人生は終わりやしない。死んだと思われていた状況からの生還。そして社会復帰。墜落前までは当たり前にあった人生の続き。その空白期間に積み上げられた自身の知らない時間を痛感させられてしまうのである。

 元々飛行機よりも新幹線に好んで乗る(景色を見ながら食事を楽しみたいだけだが)身としては、こんな事態に巻き込まれることはないだろう。しかし、それでももし飛行機に乗って墜落し、生き延びてしまうようなことがあれば……その時私は生きる努力が出来るだろうか。ボールが転がっていても蹴り飛ばしてしまわないか。命がある有り難みと、時間への考え方。そして意識の変え方。この映画からは色々と学べるだろう。

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原題:Brazil
142分

 一見少し物騒なだけの未来。しかしその世界は監視社会であり、もし何らかの違反行為をしようものなら捕まってしまう。それだけで済めばいいが、取り調べでうっかり殺されてしまうこともある。現代社会なら法廷で解決できそうなものだが、この世界ではそうもいかない。不都合なものを見てしまい、強く訴え出ようとすればやはり捕まる。しかし誰しもが監視しあっているような世界にも見えず、権力者が極端に優遇されているのを実感する程度である。本作の主人公は、そんな窮屈な世界で夢に見た女性と遭遇し、共に暴走する。終始やっていることはめちゃくちゃで不可解な上に所々ユーモアが挟まれる。しかしそれが独特な世界観に繋がっていた。もしその辺りの演出がなければ眠たいだけの凡作になっていただろう。どこかでありそうなリアリティと、浮世離れしたシュールレアリスム。一風変わった作品を探している方におすすめしたい。

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原題:The Shawshank Redemption
143分

 生きるとは何か。命とは何か。幸いにも現代の世の中では、あまり深く考えてこずとも人が人らしく生きる権利を持って生まれる機会が多い。漠然としたビジョンすらも無いまま、人生というものを享受している者が殆どだろう。この作品に出てくる彼らは罪を犯している。主人公にしたって、彼の妻からしたら何らかの不満があり、それは一つの罪であろう。しかし罪の重さを自覚した者達は、長い刑務所での生活によって変わる。ところが彼らは塀の中しか知らず、塀の外を知らない。これまでの常識が通用しない世界に出ても戸惑い、苦しんでしまう。それでもどうにか生きていく為に必要なもの――希望の大切さを学ばせてくれる。自分の人生に絶望している方や、今をなんとなく生きている方々に。人生を考えるきっかけとしておすすめしたい。

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原題:2001: A Space Odyssey
141分

 当時の人々にとって宇宙は決して身近な存在ではないだろう。宇宙がどんなものであるかもわからず、ただぼんやりとしたイメージを抱いていたのではなかろうか。しかしこの映画は恐ろしい。誰しもが想像する宇宙というイメージを魅力的な映像で表現している。序盤は退屈……いや、もしかすると終始退屈に感じるかもしれない。しかし考察する趣味を持ち、映像に惹かれて見始めた者であればとんでもない傑作だろう。とはいえ気軽には薦めにくく、人を選ぶ作品なのも間違いない。

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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