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原題:Titanic
194分

 氷山に衝突してしまい沈没してしまったタイタニック号。沈没船には非常に価値の高い宝石も眠っているとされ、そのお宝を狙って調査を行う者たちがいた。ようやく見つけた金庫を開けてみたものの、そこに宝石は見当たらず浸水して判別不可能になった紙の束しかなかった。それでも紙を洗浄してみると、宝石の手がかりとなりそうな絵画だと判明する。その絵をテレビで放映してみたところ、ある老人が電話を掛ける。タイタニック号の生き残りだという老婆は、当時の出来事を語り始めるのだった。

 今さら説明する必要もないような有名作品だが、ちゃんと観たことはなかった。それというのもある程度古く、もはや古典作品とも言える映画だからだ。とはいえ古いから観たくないというものではなく、誰しもが知っている名作なおかげでそこかしこにネタバレが蔓延っており、大体の流れを知っているせいで観る気になれなかったのだ。だがそれだけの名作なら観ておきたいという気持ちもあり、今回勢いで観ることにした。

 ネタバレは避けるといってもタイタニック号といえば沈没した船である。元となる出来事が存在し、その船が沈むのは運命だと定められている。そこまでは周知の事実と認識してしまってもいいだろう。あとはそれ以外の何がネタバレになるのか。それはやはり主人公たちの過程や結末だ。沈む船とパニックに陥る人々の姿が描かれる映画だ、といってもここまでなら何の問題もない。それでは何を語ろうかと考えたところで少し頭を抱えてしまう。結末が見えているせいで表現上の制限が多いのだ。

 なるほどこれはネタバレをしてしまいたくなるのも仕方ない。それでも回避して魅力を伝えようとすれば、身分の違う者同士の恋愛模様だろうか。本来であれば言葉を交わすはずもない相手と出会い、恥を掻かされそうになるがうまく立ち回る。周囲の声や態度はお構いなしに距離を縮めていき、船の事故に直面する。果たして助かるのか、どう立ち回るのか。恋と命の行方をはらはらどきどき楽しむのが一番だろう。

 ただ誰がどうやって生き残るのか、どうなるのかといった続きが気になる演出に拘るのであれば、金庫の中から日記が出てくるような展開でも良かったんじゃなかろうか。老婆が思い出を語る展開から物語が動き出す以上は、この人物が誰でどうやって何をしたのかまでは分からなくとも生死については理解してしまう。言ってしまえばこの作品のネタバレを主要キャストが伝えてしまっているようなものなのである。

 とはいえ過去からストーリーを初めて冒頭の電話を終盤に持ってきたらありきたりな映画になってしまい、インパクトのようなものは薄れる。映画として本作を仕上げようとした際に、彼女が誰であるかという謎よりも彼女自身が何をしてどう決断したかという意思が重視されたのだろう。どんな人物がどういう人生を送り、何を選択したか。もし正体を隠したままだと焦点が合わず、映画そのものはぼやけてしまう。

 長尺は人を選ぶが、名作と言われるだけのことはある素晴らしい映画だった。

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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