カテゴリ「イタリア」に属する投稿[4件]

原題:Profondo Rosso
126分

 テレパシーが使えるというヘルガ・ウルマンの講演には半信半疑の観衆が集っていたのだが、能力を疑う人らの前で彼女は所持品や名前を見事に言い当てる。もちろん事前に仕込んでいれば誰にでもできるテクニックではあるが、その場に居る者は彼女の力を信用する。しかし講演の途中で彼女の様子がおかしくなり突然妙なことを口走る。それだけで済めば良かったのだが、ヘルガは何者かに殺されてしまうのであった……。

 邦題にサスペリアと付いてはいるが、続編ではない。それどころかサスペリアよりも前に作られている。監督は同じダリオ・アルジェントだが、日本での公開はサスペリアの後だった。沈黙シリーズのように配役と展開で勝手にシリーズ化したものとは少し違うが、監督が同じで先に公開した映画が話題になったからと安直な理由で名付けられたのだから似たようなものではある。

 最初は邦題のせいであまり期待していなかったのだが、サスペリアとは関係なくよくできた映画だという情報も目に入ったことで観てみようと思えた。だがはっきり言って眠かった。サスペリアよりも退屈な印象を受けた。しかし徐々に引き込まれていき、今となっては有名な伏線にも驚かされた。人の視覚や記憶力というものは想像以上に雑な作りで誤魔化されやすいものなのだ。

 凄い映画である。とはいえ眠気を誘う内容なのも事実で、サスペリアでもあったゴブリンの曲が良くも悪くも特徴的。それにピアニストのマークがピアニストである意味はほぼ皆無な上に指の扱いが雑で驚く。凝っているが詰めが甘いとでもいうべきか、その面白さに触れるまでの待ち時間が長いのが難点だ。退屈でも耐えて、何の意味もなさそうな場面までしっかり目を通しながら違和感の正体を考えて楽しもう。

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原題:Suspiria
99分

 バレエの名門校に入学すべくスージーはアメリカからドイツまでやってきた。何故かその地に着いてから妙な感覚や気分の悪さに悩まされており、遂には体調不良で気を失ってしまう。奇怪な事件に奇妙な出来事は連日続き、スージーもさすがに何かおかしいんじゃないかと考える。しかし想像を遥かに超える真相に近付き……。

 ホラーが好きなのに観ていないのか、という声があり本作に目を通した。主題歌とタイトルは知っていても具体的にどんな映画なのかは知らなかったので、余計な知識がないまま色々と想像する機会が得られたのは非常に良かったと思う。けれども不条理が許されるホラーと、トリックや動機が重視されるミステリーやサスペンスの混ざり合った作風は個人的には微妙だった。どちらかに集中して欲しかったのである。

 人が死ぬシーンはどちらでもそれなりに満足できる。ホラーっぽくもあり、誰かが仕組んだトリックのようにも見えるのだ。ただあまりにもあっさり人が死ぬ。その死に呪いであったり儀式であったりと法則性や関連性が色濃く出ていれば、考える楽しみから真相に触れる喜びにも繋がっていた。だが本作にはそれほど深い理由はない。誰かにとって都合が悪いから死ぬ。ただそれだけなのだ。

 ホラーやスプラッター要素を重視して、もっと血を増やすか超常現象のようなものを増やしてくれたらよかった。謎は謎のままにしてくれた方がホラーとしてはぐっとくる。謎が明らかになった瞬間に落胆したのは私だけではないだろう。ジェシカ・ハーパー演じるスージーの魅力が乏しければ途中で諦めていたかもしれない。世間的にはホラーの名作でも、個人的には気合いの入ったB級ホラーだった。

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原題:The Last Emperor
163分

 清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀がどんな生き方をしたのか。また、どう去って行ったのか。壮大な歴史を壮大なスケールで描いた歴史映画。とはいえ歴史をそのまま表現したノンフィクションではなく、映画としての魅力が増す為の創作が随所に練り込まれている。どこがどう脚色されているのかは歴史に明るくなければ分かりにくいだろう。しかし登場人物が終始英語を話しているというのはどうも違和感が強く、なんとも複雑な心境になってしまう。これといって派手などんでん返しや演出も少なく、ただただ壮大で偉大な世界観に圧倒される。どこがどう面白いと伝えるのは難しいが、もし誰かに勧めるとしたら「とにかく凄い」の一言に尽きる。

330文字 編集

原題: Dawn of the Dead
127分

 言わずと知れたロメロのホラー映画。現在主流となっているゾンビの生態や特徴は本作で確定したと言っても過言ではない……が、ゾンビ自体の設定はもっと古くから存在する。昨今のゾンビ映画と比較するとそこまでの恐怖感は無いものの、人類の無力さや絶望感は味わえる。また、あるゾンビの行動原理について考えるのも実に面白い。

185文字 編集

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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