カテゴリ「2020年代」に属する投稿[1件]

100分

 生殖機能を失った人類と、かつて労働力として産み出されるも人類とは離反して生活を送るようになったマリガン。未知のウイルスが蔓延した世界で人類はマリガンに希望を託すことになる。とはいえもはや完全に異なる生命体と社会が形成されており、上手く話が進むとも限らない。そこで調査員としてバートンが向かうことになったのだが、彼には特別な力も無く、前職もただのダンス講師で……。

 たまにCGアニメやクレイアニメといった少し毛並みの違う創作物に触れてみたくなることがある。ふとAmazonからのメルマガを見るとそこには本作の宣伝があり、ちょうど何か気分転換に観たいと思っていた私は再生ボタンをクリックしていた。その質感や表現は私の欲求を十分に満たすものであった。しかし物足りなかったのも事実である。

 本作の舞台は遠い未来で、人類はすっかり変わってしまっている。その姿は人類というよりもアンドロイドに近く、人類だったものが人類のような外見を保つために身なりを整え、人並みな生活を送っているとでも言った方がいいだろう。対して人工生命体であったマリガンの方がやや原始的ではあるものの、人らしいといえる。

 人類代表のバートンがマリガンとどう対立するのか、どうやって同じ道を歩んでいくのか――という展開はなく、うっかり記憶喪失になったバートンがマリガンに助けられるという内容になっていた。そこには人間らしさとはなにかというテーマが描かれているような気もする。ただ個人的に望んでいた展開ではなかったのが残念だった。

 主人公の設定も現時点ではあまり生かされておらず、物語の序章を終えたばかりという印象が強い。三部作の第一章と書かれていたのだが、本作に7年かけているらしい。果たして後何年待てば完結するのだろうか。使い回しに出来る資産が増えたとしても、撮影の手間を考えるとせいぜい1年か2年短縮できるだけなんじゃなかろうか。

 完結してからだと様々な伏線や設定の活用も見られるのかもしれない。だが現時点では雰囲気はいいが未完成な作品である。造形やスプラッターは好みだったが、そこまでの驚きはなかった。続編次第ではおすすめだと言える魅力もある。『カクレンボ』のような映画であり、『Cat Shit One』のようなエンタメ要素がもっと欲しかった。

981文字 編集

複合検索

  • 投稿者名:
  • 投稿年月:
  • #タグ:
  • カテゴリ:
  • 出力順序:

説明

 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

 レビューを書き始める前に観た映画の一部リストはこちら。好みの参考にどうぞ。趣味が合う人は名作を、趣味が合わない人は迷作をチェックすると好きな映画が見つかるかもしれません。

編集

最近の投稿

現条件でのレビュー数

1件