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原題:Funny Face
103分

 世の中には平々凡々とした生き方を選ぶ者が多い。それには芸能界のような華やかな世界にはついていけないと思ったり、元々そういった世界に興味がなかったりとそれぞれの理由がある。この作品の主役であるジョーは自分が芸能界でやっていけるとは思っておらず、そういった職業自体に興味を抱いていない。しかしひょんなことから大役のモデルを任されてしまう。

 ジョーを演じる女優はオードリー・ヘプバーン。作中ではメイクをしてからその美貌を誰もが認めるのだが、本屋で働いているただの店員として登場した瞬間から誰よりも輝いている。この美貌に気付かない連中に一体何が分かるのかと文句を言いたくもなるが、もちろんその魅力に気付く者がいるおかげでモデルへの道が拓けるのだ。

 モデルになったジョーと写真家のディック。そして編集長であるマギー以外は目立たないが、コミカルな動きのミュージカルと合わせて終始心地よい気持ちで三人の姿を見ていられる。展開はありきたりとも言われそうなものだが、無駄のない演出と地味になりがちな箇所でのミュージカルが飽きさせない。特にカフェでのダンスは色々な意味で凄い。

 脚本の面白さに加えてミュージカルの楽しさ。オードリー・ヘプバーンの美しさにフレッド・アステアのダンスと本作の魅力は多い。ケイ・トンプソンもありがちな作品ではひたすら性格の悪い役になりがちだが、少し癖が強いだけで良い性格をしている。魅力的な三人の異なる個性は相乗効果を産み出し、良質な世界観を作り出す。間違いなく今でも楽しめる良い作品である。

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原題:The Killing
85分

 独創的な映画ばかり作る印象のある監督といえばスタンリー・キューブリックだろう。そんな彼がハリウッドで最初に作ったのがこちらの作品である。内容は手っ取り早く大金を手にしたい連中が計画を練り、競馬場の金を狙うというもの。計画実行までの人間性が際立つドラマパートにスマートさの光る強盗パート。そして結末が待ち構える。

 計画自体はよくできているが、何故そこにその人物を選んだのかという疑問点は残る。ああいう性格だから利用しやすいと考えるべきか、あるいは他がまともだったから彼しかいなかったのか。何にせよ計画に欠かせない人物ではある。きっと他に誰もいなかったのだろう。ついでに他の疑問点もある。それはある人物らとの交渉シーンである。

 その計画には協力者が必要で、協力者には詳細を明かすわけにはいかない。もし彼らが手にする大金の額を知ってしまえば、多額の報酬を要求してくる可能性が高いのだ。それで協力者には詳細を隠し、彼らからすれば大金(強盗で得る額からすればはした金)を支払う。詳細は明かさない。その代わり協力すればこれだけの金をやるぞ、と。

 もちろん彼らは食いつく。しかし彼らも馬鹿ではない。何故この程度の協力で大金を得られるのだろうか、と疑問を抱くのだ。この程度の内容なら自分である必要はない。それにもっと安く済む。さてはもっと大金が手に入るのだろうと。そうと分かれば彼らも黙ってはいない。協力はする。その代わりに分け前をよこせ。これは当然の流れで、これまた当然の要求である。

 ここで私は口約束をして反故にするのか、過少申告して少ない分け前を与えるのか……と考えていた。しかし彼らはごねる割にあっさりと引き下がる。依頼内容を怪しむ者が居るのはいい。誰も疑わないのは不自然だろう。けれどもこうさっぱりしていると違和感がある。これならもういっそのことごねる展開は不要だったのではないだろうか。

 最後に疑問点を書いてしまったが、全編通して気になった箇所といえばそれくらいのものである。彼が仲間でなければ最後の展開には至らないわけで、いささか不自然ではあるものの協力者が納得しなければ計画もうまくいかないだろう。演出はキューブリック監督らしく、いやに人間らしい彼らのやりとりもうまい。フィルム・ノワールに興味があれば是非観てほしい。

998文字 編集

原題:Ascenseur pour l'échafaud
92分

 ある目的の為に準備をしてきた男が計画を実行し、成功する。しかしお粗末な後処理のせいで現場に戻ることとなり……。展開としてはよくあるサスペンスだが、事前準備に力を注いでいたくせにどうしてそれを忘れるのか? と首を傾げてしまうストーリーは賛否両論だろう。動転していると言えばそれまでだが、ある場所から出る為に試行錯誤する様もスマートには見えない。視点が変化しながら様々な姿が映し出される演出が目立ち、気付けば主役も代わっている。面白いのは確かだが、色々と理不尽で納得しにくい箇所はあった。悪くはないものの、サスペンスに完璧さを求める者には物足りない作品だろう。

324文字 編集

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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