No.216

124分

 現代と近いのか、それとも遙か遠い未来なのかも判別の付かない世界。世界中が発展と荒廃の渦に飲み込まれているサイバーパンク色の強い舞台で、少年らが暴れ回っていた。彼らはせいぜい名の知れた集団で終わるはずだったのだが、何者かの描いた筋書きによって大きな渦に巻き込まれ、その中心の渦そのものへと変化していく……。

 アニメ映画はあまり観る機会が無い。それでも少しは観ており、その中には『パプリカ』が含まれる。キャラクターや構成は当然違うものの、どうしても所々でそちらの方と比較してしまうのが難点であった。どちらも共通して言えるのは、明確な答えらしい答えはないというものだ。各々の解釈によってどうとでも捉えられる作品であり、これはこうだと断定するのは非常に難しい。

 更に言えば原画の田中達之がデザインを担当したゲームの『リンダキューブ』が好き(だが自分の手でクリアはしきれなかった)なせいか、リンダキューブの世界であった出来事のように思ってしまうという問題も発生した。アニメ自体には何の罪もない。ただ私が映画を観るまでに得た知識や記憶といったものが純粋に作品を楽しむ機会を奪っていたのである。

 内容はサイバーパンクや世紀末らしいものであり、鮮明な他人の夢を横から覗き見ているような印象が強い。よく分からない何かが起きて、それに右往左往しながら手に負えない大きなものと衝突する。ありがちといえばありがちで、王道といえば王道だろう。そこに精神世界であったり化け物であったりといった要素がうまく絡み合った映画だ。

 最後まで退屈せずに観ていられたのだから、面白かったのだとは思う。ただどこがどう面白かったのかと聞かれても困る。語彙が一切感じられない残念な表現で申し訳ないのだが、「なんか面白かった」としか言えないのである。ただ個人的にまた観たいかというと微妙だ。自分で設定を練るのが好きな人や、考察が好きな人には素晴らしい映画にもなり得るのかもしれない。

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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