カテゴリ「オーストラリア」に属する投稿[4件]

原題:Ocean's Twelve
125分

 うまく大金を手にしたオーシャンズ一行ではあったが、何年も経ってからあの時の犯行が彼らによるものだと判明してしまう。盗まれた金は保険でカバーされているにも関わらず、オーナーのベネディクトは盗んだ金と利子を期限内に払えと迫ってきたのだ。しかし大金が残っているはずもなく、再び彼らは組んでこそこそと金を稼ぐ羽目になるのであった。

 前回に比べると泥棒の規模は小さくなっており、大掛かりな作戦もない。雰囲気もよりコメディ感が強まっている上にメタフィクションや大物ゲストの存在もあり、ファンを楽しませるための続編といった印象が強い内容となっている。それ自体はいいのだが、コメディに舵を切ったせいか個々のプロフェッショナル要素が減り、小者集団のようでもあった。

 これぞ金をかけた娯楽映画といった作りなのだが、海外ドラマでシーズン中盤辺りの話を見ている感覚が強く、一体いつになったらその凄い腕を発揮してくれるんだ? と焦らされるのも事実。やっと動き出したかと思えば再び物語は停滞し、ようやく大きな展開を見せるかと思えばあっさりと終わり、実はこんなことをしていましたと事後報告。がっかりである。

 序盤から中盤にかけてのちょっとしたやりとりも、それぞれのキャラクターを楽しむという目的で見れば価値もある。だがこれは犯罪者集団が凄いことをやらかす映画だと思っていたのだ。その大犯罪がダイジェスト形式ではいくらか不満も残る。ファンには良くて、まあ面白い。しかし物足りなさが後に残る。続編を見たくもなるがその程度。あまりオススメはできない。#オーシャンズシリーズ

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原題:Winchester
99分

 ウィンチェスター社は銃を製造しており、その銃で大勢の人が命を失っている。ウィンチェスター婦人は霊媒師に話を聞き、怨霊の為に改築を行っていた。改築に改築を重ねるウィンチェスターハウスは継ぎ接ぎだらけの異質な屋敷として大きくなり、怨霊が増えるにつれて奇妙な現象の数まで増していく。だがそんな話を信じるわけもなく、そこに精神科医が送られるのであった……。

 どんな映画を観ても良いところと悪いところを考えて感想を書こうと心掛けている。しかし本作は難しかった。強いて言えば一見すると映像が綺麗。それくらいだ。ストーリーもあるが微妙だ。実在する呪われた屋敷が舞台で、その屋敷といえば改築を繰り返した迷路のような構造が魅力だろう。だがこの映画ではそんな描写はほぼ無く、展開に活かされることもなかった。

 てっきり隠し部屋や隠し通路を使って逃げたり、そこを危険人物が利用して危機を招いたりといったサスペンス寄りの恐怖を想像していたのだ。けれども蓋を開けてみれば中身は期待外れの凡作だった。ホラー要素も精神的に恐ろしいものではなく、急に悪霊が映り込んで驚かすというものばかり。この映画がウィンチェスターハウスである必要はあったのだろうか。

 ホラーは観客を驚かせるものであり説明不足でも許されるという風潮もある。だとしても本作は微妙で、終盤の描写もホラーとしての盛り上がりではなくアクション映画のそれであり、ホラー映画好きとしてもウィンチェスターハウスのファンとしても納得できないだろう。外観の描写もワンパターンで物足りず、誰におすすめしたらいいのかも分からない。他に娯楽がなければ観たらいい。

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原題:Predestination
97分

 事故と火傷。人によっては直視しがたい場面から物語は始まる。男は手術によって一命を取り留めるが顔は火傷が酷く、まるで別人のような顔を与えられる。彼は当然変化に驚くが、受け入れて任務に向かう。なんとこの男の正体はタイムスリップをして犯罪を未然に防ぐ秘密裏の組織の一員だったのである。彼は連続爆弾魔を捕まえるべく正体を偽り、ある相手と接触して会話を交わす。すると相手は昔話を始めるのだった……。

 タイムスリップという単語からも分かるように、本作にはSF要素がある。というか要素どころか物語の展開も核も何もかもがSFで構成されている。連続爆弾魔は誰か? 逃げた男は? 組織とは? SFといえば作品によっては小難しい言葉と設定で訳が分からなくなることもあるが、こちらの映画は比較的優しい方だろう。分かりやすく、それでいて面白い。タイムスリップを軸に置いた映画としてはトップクラスだろう。

 過去に『LOOPER/ルーパー 』の感想を書いたが、こちらは逆に分かり難く物足りなかった。登場人物の行動原理や目的といったものの差がはっきりしており、もやもやしたものを抱えたまま終わったルーパーに対し、本作はすっきりとした気持ちでスタッフロールを眺めることができた。内容としてはルーパー以上にややこしいこともしているのだが、伏線の張り方と見せ方がうまく、パズルのピースがぴたりとはまっていく感覚が得られる。

 この作品は面白い。手放しで褒めよう。SFというジャンルではなく、映画という娯楽の中でも上位に位置する。タイムスリップや犯罪ドラマ、哲学といったものに興味があれば間違いなく楽しめるだろう。ややこしい上に難しい内容ではあるが、しっかり話を追えば理解できる。だが、一つ文句を言わせてもらう。どうしてこんな名作が既にあるんだ? こういう作品はいつか自分の手で作り上げたかった。その才能には嫉妬を覚える。

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原題:Jungle
115分

 人は未知の存在に恐怖する。しかし同時に興味も抱いてしまう。好奇心とは常に未知というスパイスを孕んでいるものなのである。主人公のヨッシー・ギンズバーグは現地で知り合った友人2人にガイドの1人を加えた4人でジャングルの奥地へと進む。だが、ジャングルには彼の想像を遥かに上回る危険と恐怖が潜んでいた……。

 魔法を使っている子役のイメージがしばらく付き纏っていたダニエル・ラドクリフがジャングルを舞台に生きる。最初は顔を見る度に妙なイメージがちらついていたものだが、物語が進むにつれて彼はヨッシーにしか見えなくなっていく。こう書くとそれはそれでまた違った意味に受け取られかねないが、心配は杞憂に終わったのだ。

 主な登場人物は4人と少ない上に、終盤はほぼ1人で演出や演技が重要になる展開が続く。このような内容だと俳優によっては間が持たず、演出によっては退屈な時間にもなりやすい。けれどもダニエルの演技は見る者を引き込み、極限状態の人間が見てしまうものを表現することで観客を飽きさせず、より作品の魅力を引き出している。

 作品としては面白く、実話が基になっているとは思えないほど単体の映画として昇華されている。個人的にはおすすめしたいところだが、割とスプラッターな要素もある。未開の部族と『グリーン・インフェルノ』のような展開はないが、動物が悲惨な目に遭うのは間違いない。そういったものへの耐性があり、サバイバルが好きな人には見てほしい。

655文字 編集

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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