カテゴリ「2000年代‏‎」に属する投稿(時系列順)[26件](2ページ目)

原題:Land of the Dead
93分

 ロメロが随分と久しぶりに撮ったゾンビ映画。当然のように世界はゾンビで溢れているものの、生き残っている人間もそれなりに頑張っている。ある程度の戦力は確保しているのだが、残念なことに人間は油断してしまう生き物なのだ。うっかりピンチになっては死を招き入れるそんな世界で、チョロやライリーといった傭兵たちはそれぞれの目的を達成すべく、己の意思で突き進んでいく。
 構成としては割と単純で、ゾンビのいる世界でも未だに存在する人間社会のいざこざが物語に大きく絡んでくる。各々の力が弱ければ、ゾンビという共通の敵だけを相手にしたのかもしれない。ただそれでは物語の深みもなく、退屈なシーンばかりになるだろう。ゾンビが居ようと居まいと人間は人間で、自分勝手な生き物。ロメロは毎回そんなことを伝えてきている気がする。
 主役の一人であるジョン・レグイザモは『ER緊急救命室』のクレメンテ、サイモン・ベイカーはといえば『THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル』のジェーンと個人的に好きな海外ドラマで印象に残っているキャストだったのが印象的だ。といってもそれは本編とは何の関わりもなく、もし彼らのファンでゾンビ映画を普段観ない人なら楽しめるだろうという程度だ。
 ホラーやゾンビ映画としては十分満足出来るだろうし、ロメロっぽさも感じられる。だが新鮮味はそこまでなかった。よくある映画にロメロの味付けが加わった程度であり、彼のゾンビ映画を観たいというファン向けの作品に終わっていた。ロメロ作品にありがちな力で引き裂かれるシーンなんかは特にそうだと思う。
 映画としての面白さはある。様々な要素で楽しめるのも確かだ。だがもう一捻り何かが欲しかった。

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原題:Diary of the Dead
95分

 なんとなくロメロ強化週間という感覚で立て続けにロメロ作品ばかり観ているのだが、こちらはなんとドキュメンタリータッチ。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』に『テイキング・オブ・デボラ・ローガン 』と私のレビューでは迷作ばかりの表現手法となっている。突如発生したゾンビと人間の愚かさ。毎度お馴染みのテーマがこれまでとは異なる描写で楽しめるようになっていた。

 カメラ越しに化け物と対峙する映画といえば『REC /レック』辺りが目立つだろうか。あちらはカメラを効果的に使っていて、続編では妙なことになってもいたがカメラとホラーの組み合わせとしてはよかった。本作はホラーとして楽しめるかどうかは正直微妙で、カメラ越しの映像作品やホラー作品といったカテゴリーで比較すると負けてしまっているように感じた。

 だがそこはロメロ。中弛みしやすいこのジャンルでもゾンビ映画らしさは健在であり、睡魔に襲われてしまう機会は少ない。どうして撮影を続けるのかという理由一つをとっても、彼らの行動原理にそれなりの設定が用意されている。それでいて映画を通して伝えたい核が定まっているおかげで、軸がぶれずに映像作品としてまとまっていた。

 ロメロはきっとこう言いたいのだろう。ゾンビなんかよりも人間の方がよっぽど化け物だと。伝えたいものだけ伝えたって駄目なんだと。真っ先にゾンビの異変を伝える存在が彼らなのは職業からしても自然で、いきなり犠牲になってしまう存在なのも彼らがそういう職種でそういう仕事をしていたからだ。ロメロは糞を捻り出した本人に糞を投げつけたに過ぎない。

 ストーリーは欠けているかもしれないが、このジャンルで妙にストーリーがあってもフィクション要素が強くなってしまう。監督のファンであろうとなかろうと好き嫌いが分かれる映画だろう。出来に不満を抱えて、監督の名前を間違えたまま連呼するレビュアーが現れるのも致し方ない。なにせ本作の題材は恐怖ではない。人間の醜さと愚かさだ。期待のベクトルが違うのである。

 カメラマンの報道精神が嫌いな人もいるだろう。主要キャラが死んでもそこまで感情移入できず、モブの一人が死んだ程度の感覚しか覚えない人もいるはずである。彼らは映画の主演ではあるが、事故現場でスマートフォンのカメラを向ける人々と何ら変わりないのだ。淡々と迎える世紀末を傍観する人類と、それを眺める視聴者。娯楽映画かは悩むところだが、嫌いじゃない映像作品だ。

1067文字 編集

原題:Ocean's Eleven
116分

 服役を終えたオーシャンは、仮釈放中にも関わらず大胆かつ緻密な大犯罪を実行しようと考える。しかし一人ではどうしようもないため、次々と様々な犯罪者を集めて虎視眈々と準備を進める。各計画ごとに適した人材を配置し、後は実行の日を待つのみ……だったが予想外のアクシデントも発生してしまった。それでも彼らは半ば強引に予定通り計画を実行に移すのであった。

 かなり古い映画の『オーシャンと十一人の仲間』をリメイクした作品で、この作品自体ももう今となっては二十年前の旧作となる。それゆえにどちらを先に観るべきかと悩みもした。先に本作を見ればオリジナルが物足りなくなるかもしれないし、オリジナルから観ようにも今となっては退屈かもしれない。とまあ悩みに悩んで気付けば数年の月日が経っていた。

 このままだと一生観ないだろうと判断し、とりあえず本作を選んだ。主要なキャストに好きな俳優が集中していたのが決め手になったのである。それで実際に観た感想はというと良かった。それぞれが持ち味を発揮して活躍するのは『メジャーリーグ』のようで、
完璧な犯罪を見せつけられる知能ドラマとは違った方向で楽しめた。

 残念ながらあっと驚く要素は少なく、カメラの使い方なんかも仕掛けにすぐ気付いてしまった。知能犯罪ではあっても、それは大胆だから気付かれにくいというものばかりで、もし被害者連中に一人でも賢い人物がいれば、ここまでスムーズには終われないだろう。爽快感と達成感はあるが、オチは弱い作品だったように思う。

 様々な要素が何回も出てきたせいでインパクトが弱くなってしまった気もするが、十分面白いのは間違いない。ただこういうストーリーだと大事な要素は出し惜しみしてくれた方がいい。これまた古いが『スティング』を観た時はしてやられたと感心したものである。とはいえ今から続編が楽しみで、明日には観てしまいそうなほどだ。はてどうしたものか……。#オーシャンズシリーズ

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原題:Ocean's Twelve
125分

 うまく大金を手にしたオーシャンズ一行ではあったが、何年も経ってからあの時の犯行が彼らによるものだと判明してしまう。盗まれた金は保険でカバーされているにも関わらず、オーナーのベネディクトは盗んだ金と利子を期限内に払えと迫ってきたのだ。しかし大金が残っているはずもなく、再び彼らは組んでこそこそと金を稼ぐ羽目になるのであった。

 前回に比べると泥棒の規模は小さくなっており、大掛かりな作戦もない。雰囲気もよりコメディ感が強まっている上にメタフィクションや大物ゲストの存在もあり、ファンを楽しませるための続編といった印象が強い内容となっている。それ自体はいいのだが、コメディに舵を切ったせいか個々のプロフェッショナル要素が減り、小者集団のようでもあった。

 これぞ金をかけた娯楽映画といった作りなのだが、海外ドラマでシーズン中盤辺りの話を見ている感覚が強く、一体いつになったらその凄い腕を発揮してくれるんだ? と焦らされるのも事実。やっと動き出したかと思えば再び物語は停滞し、ようやく大きな展開を見せるかと思えばあっさりと終わり、実はこんなことをしていましたと事後報告。がっかりである。

 序盤から中盤にかけてのちょっとしたやりとりも、それぞれのキャラクターを楽しむという目的で見れば価値もある。だがこれは犯罪者集団が凄いことをやらかす映画だと思っていたのだ。その大犯罪がダイジェスト形式ではいくらか不満も残る。ファンには良くて、まあ面白い。しかし物足りなさが後に残る。続編を見たくもなるがその程度。あまりオススメはできない。#オーシャンズシリーズ

709文字 編集

原題:Ocean's Thirteen
122分

 彼らはそれぞれの生活を送っていたのだが、彼らにとって大切なある人物が騙されてしまう。そのせいでその人物は立場を失い、心身も害してしまった。ホテル王のバンクへの報復を誓い、再びオーシャンズが集結する。確固たる地位を確立したバンクを失墜させてついでに巨額な報酬もゲットすべく、オーシャンズは大掛かりな準備を開始するのであった。

 初代は私怨が大きな目的で、続編はゆすられて仕方なく。そして本作では仲間のためにオーシャンズが活躍する。内容としては初代に近く、一つの大きな計画が描かれる。やはりちまちまとした犯罪よりはこちらの方が見応えもあり、盛り上がる。集大成といった作りで良かったものの、これで終わりかと思うと寂しくもあった。

 オーシャンズらしさは十分あり、登場人物の細かい繋がりなんかに興味がなければ11から13を観れば良い気もする。しかしこの二つを観てから12を観るのもそれはそれで微妙なので、多少合わなくとも順番に観ていった方がいいだろう。物足りないだけで全く面白くないわけではなく、それなりに楽しめるのは間違いないのだから。

 ただ本作は様々な人物が出てきた割に前作のキャストが欠けており、あの人たちはどうなったの? 今は何をしてるの? と思いもする。その辺りは打ち切り漫画のようでどうにかして欲しかった。けれども彼らは有名人なわけで、ちょい役で出して高額なギャラを持って行かれるのも困る。それではその人たちの方がオーシャンズ以上の泥棒になってしまうのだ。

 色々とやらかしながらもうまくいくというストーリーはもはや王道を通り越してテンプレではあるが、キャラクターが立っていたり成長が見られたりと様々な目線から楽しめる。といっても初代の焼き増しという印象は拭い去れず、名作にまではなりきれない。だがもしシリーズではなく一本の映画であれば、その時は名作と呼ばれていたのかもしれない。#オーシャンズシリーズ

845文字 編集

原題:Shattered Glass
94分

 若くして売れっ子記者として活躍するスティーブン・グラスは、堅苦しくなりがちな雑誌で面白い記事を量産していた。誰もが尊敬し、編集長や同僚までも彼の記事を期待するほどだったのだが、ある記事がきっかけとなり彼の記事は創作ではないかと疑われてしまう。スティーブンは関係者の情報を渡し、身の潔白を証明するのだが……。

 本作は実際に捏造記事を特大ニュースかのように書いては評価を得ていた記者、スティーブン・グラスを映画化したものである。正直な話、彼は最初から最後まで怪しい人物だ。本人は上手く振る舞っているつもりなのかもしれないが、あまりにも雑で考えなしの阿呆としか言えない。同僚たちはなぜ一度も疑わなかったのだろうか。

 大スクープをどこからともなく入手する天才記者の割にどうも薄っぺらく、そんな人物を無条件に信用する彼らは果たして被害者だろうか。記事を裏付ける調査すらも怠り、たった一人の文章を全面的に信用してしまうというのは職務放棄に他ならない。正しい記事を届けるのが記者の仕事だとすれば、彼らも共犯者といえよう。

 これといった捻りもなく、詰めの甘い嘘吐きが大きな嘘を吐いて失脚するだけの映画になっていた。頼りない新編集長が誰よりも真面目で熱意もあった点については意外性もあったが、それだけである。邦題を見て思う。彼は天才か? むしろ馬鹿ではないか? もっと大胆で知的な内容を想像していたせいか、非常にがっかりした。

643文字 編集

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説明

 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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