カテゴリ「佳作」に属する投稿(時系列順)[56件]

原題: True Memoirs of an International Assassin
98分

 小説家が命を狙われる羽目になってしまうというとんでもない内容。彼らの行動は現実離れしていて、にわかには信じがたい。しかし、細部の人物設定や分かりやすくも丁寧な伏線が生きている。現実ならあり得ないと断言出来るシーンにも、この人物なら出来るかもしれないと思える説得力がある。王道で馬鹿らしくもありながら、十分に楽しめる娯楽映画だった。

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原題:San Andreas
114分

 恐ろしく優秀なレスキュー隊員の主人公が活躍する映画。家族が大災害に巻き込まれてしまい、救う為に次々と乗り物を強奪しながら何とかするという内容で、災害の恐怖と強い主人公の王道ストーリーが待っている。主人公が抱えていたトラウマを克服するシーンもあり、ただのパニック映画では終わらないデキだった。

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原題: John Wick
101分

 引退した殺し屋が飼い犬を殺されたのがきっかけで復讐をする。字面だけだと癇癪持ちが暴走するだけの展開に見えるが、人を殺し始める動機付けはきちんとある。愛があって命の重みを知っているからこそ主人公は復讐をした。決して癇癪持ちでは無く、むしろ心が広い。ほぼアクションシーンしかないという清々しいまでのアクション映画だった。#[ジョン・ウィックシリーズ]

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原題: Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
93分

 スタンリー・キューブリックが描くブラックコメディ。登場人物はどいつもこいつも狂っていて、自分のことしか考えていない。こうしたい。こうなって欲しい。こういう時はこうするべきだ。彼らのそんな考えが妙に絡み合った結果、人類にとっては酷い結末を迎える。あくまでコメディだが、人類が滅亡するとしたら案外キッカケはこんなものかもしれない。

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原題: THE EXORCIST
132分

 言わずと知れたオカルト映画。結局悪魔は何だったのか、何故彼女なのか。そんな疑問が浮かんでも悪魔だからとしか言えない。様々な謎は残るが、悪魔を題材にした映画としては満足できる。しかし動(恐怖や激しいシーン)が少なく静の場面が多い作りは人を選ぶだろう。尺の長さもあり、怖い映画を観たいだけの人には期待外れかもしれない。

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原題: The Birds
119分

 襲いかかる鳥の恐怖に怯え、逃げ惑う姿を描いたパニック映画。メイン寄りの人物には鳥が苛立つ(仲間を食べていたり雑に扱われたり等)理由もあるが、襲う理由が明確には明かされていない。ただ、理由もなく襲いかかる方がより恐怖を感じる。ホラーとしてはそれでいい。人の弱さと動物の強さ。身近で起こりえるかもしれない恐怖は背筋を冷たくさせる。

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原題: Dawn of the Dead
127分

 言わずと知れたロメロのホラー映画。現在主流となっているゾンビの生態や特徴は本作で確定したと言っても過言ではない……が、ゾンビ自体の設定はもっと古くから存在する。昨今のゾンビ映画と比較するとそこまでの恐怖感は無いものの、人類の無力さや絶望感は味わえる。また、あるゾンビの行動原理について考えるのも実に面白い。

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158分

 人類滅亡を描いたパニック映画。マヤ、ノアの箱舟といった言葉でわくわくする人にはちょうどいい映画ではなかろうか。なるべく現実的に、起こりうる展開を描いた作品のようだが私には他の人類滅亡物との違いが今ひとつ分からなかった。すごくきれいですごく壮大。観終わった時の感想はそれだけだった気がする。ただ違いを理解できなかっただけで、映画として面白くなかったかといえばそうではない。十分に楽しめたし、尺が長い割には最後まで視聴できた。もっと様々な知識を持った人からすれば、より素晴らしい映画だと思えるのかもしれない。

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原題:Cube
90分

 目を覚ますとそこは見知らぬ立方体の部屋。何故そこにいるのか。誰がどんな目的でこんな空間を用意したのか。そういった疑問は最後まで解決されないが、誘拐と見知らぬ相手との協力。そして死の恐怖といった要素は後々の作品へと大きな影響を与えた。もはや改めて紹介する必要はないが、密室ホラー(?)の原点としてはよく出来ている。謎を残したまま終わるのもホラーだからこそといえる。決して投げっぱなしではない。#[キューブシリーズ]

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原題:Cube 2: Hypercube
95分

 キューブの続編だが、正直に言うとこちらは観なくてもいい。キューブの何がよかったかといえば、それは演出とキューブの仕掛けだろう。しかしこちらは演出も手堅くまとまっているだけで面白みに欠ける。キューブの仕掛けもいまいちで、非現実的な要素が加わるのは構わないが、その要素に頼りすぎていた。グロ要素も殆ど無く、むしろこれがキューブを作る為の練習作だったと思いたい。映画として駄作と言い切るほどではない。けれどもキューブを好む層向けの作品とは言いがたい。#キューブシリーズ

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原題:2001: A Space Odyssey
141分

 当時の人々にとって宇宙は決して身近な存在ではないだろう。宇宙がどんなものであるかもわからず、ただぼんやりとしたイメージを抱いていたのではなかろうか。しかしこの映画は恐ろしい。誰しもが想像する宇宙というイメージを魅力的な映像で表現している。序盤は退屈……いや、もしかすると終始退屈に感じるかもしれない。しかし考察する趣味を持ち、映像に惹かれて見始めた者であればとんでもない傑作だろう。とはいえ気軽には薦めにくく、人を選ぶ作品なのも間違いない。

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原題:La habitación de Fermat
88分

 タイトルと原題の違いで疑問を抱いた方もいると思う。そしてその疑問はきっと正解へと繋がる。こちらの映画はキューブシリーズのようなタイトルだが、全く関係ない。原題を直訳すればフェルマーの部屋で、内容もそのまま。フェルマーに招待された者たちが小中学生レベルのような問題をひたすら解かされるというもの。問題はそこまで難しくもなく、グロもなければキューブらしさのかけらもない。しかしシナリオ自体はそう悪くなく、紅一点のヒロインが気に入れば暇潰しに観るのもいいだろう。

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原題:곤지암
94分

 曰く付きの精神病院跡地で生配信をして視聴者数を稼ごう! という現代ならではのストーリー。もちろん彼らは怪奇現象に襲われる。怖いか怖くないかと言われたら確かに怖い。しかし残念ながらどれもこれも予定調和のままで、よく言えば王道的な展開。悪く言えばありきたりな展開が続く。せっかくのPOV形式も生配信というスタイルも味付け程度にしかなっておらず、色々と勿体ない。展開としてのホラー要素は物足りないが、SEや視覚的なホラー要素は強い。

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原題:Shutter Island
138分

 連邦保安官の主人公はある人物を探しており、別の名目で島を訪れる。なにやら色々と怪しい場所で妙な者達と邂逅しながらもどうにか捜査を進めるのだが……。捜査自体も裏の目的も同時に進行し、そこまで派手さはないものの次々と様々な出来事が起こる。中にもラストへと繋がる演出の数々はそれが何を表しているのかと考えさせられる。しかしその演出が過剰すぎるせいか、真実を理解しやすくもなっていた。それにこういった映画では付き物で、見た瞬間に何もかも理解してしまうようなコピーもご丁寧に添えられている。面白いが、色々と残念な印象ばかりが残ってしまう一作だった。

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114分

 ちょっとした切り傷や擦り傷程度であれば、大抵の人は軽く水洗いをして放置することも多い。しかし運が悪いと細菌に感染してしまう場合もある。身近にあって死亡率も高い破傷風。この感染症の恐怖を教えてくれるのがこの作品だ。映画を通して観れば、確かに恐ろしさも人間の弱さも描かれている。ところがホラー要素を重視しすぎたのか、色々と理不尽な(あるいはご都合主義とでもいうか)描写も見受けられる。ストレスによるパニックを表現するための発狂は問題ないが、破傷風の患者をあの病室に入れるのは意味が分からない。誰も破傷風について詳しくないという想定で撮られていれば、そういう時代だったのかもしれないとは理解できる。けれども作中で音と光に対する影響が語られている以上、納得できる者は居やしないだろう。驚くような展開はなく、先述した通りで粗もある。それでも視聴者を引き込む力はあり、機会があれば観て欲しい一本だ。

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原題:The Last Emperor
163分

 清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀がどんな生き方をしたのか。また、どう去って行ったのか。壮大な歴史を壮大なスケールで描いた歴史映画。とはいえ歴史をそのまま表現したノンフィクションではなく、映画としての魅力が増す為の創作が随所に練り込まれている。どこがどう脚色されているのかは歴史に明るくなければ分かりにくいだろう。しかし登場人物が終始英語を話しているというのはどうも違和感が強く、なんとも複雑な心境になってしまう。これといって派手などんでん返しや演出も少なく、ただただ壮大で偉大な世界観に圧倒される。どこがどう面白いと伝えるのは難しいが、もし誰かに勧めるとしたら「とにかく凄い」の一言に尽きる。

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原題:Brazil
142分

 一見少し物騒なだけの未来。しかしその世界は監視社会であり、もし何らかの違反行為をしようものなら捕まってしまう。それだけで済めばいいが、取り調べでうっかり殺されてしまうこともある。現代社会なら法廷で解決できそうなものだが、この世界ではそうもいかない。不都合なものを見てしまい、強く訴え出ようとすればやはり捕まる。しかし誰しもが監視しあっているような世界にも見えず、権力者が極端に優遇されているのを実感する程度である。本作の主人公は、そんな窮屈な世界で夢に見た女性と遭遇し、共に暴走する。終始やっていることはめちゃくちゃで不可解な上に所々ユーモアが挟まれる。しかしそれが独特な世界観に繋がっていた。もしその辺りの演出がなければ眠たいだけの凡作になっていただろう。どこかでありそうなリアリティと、浮世離れしたシュールレアリスム。一風変わった作品を探している方におすすめしたい。

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原題:Ascenseur pour l'échafaud
92分

 ある目的の為に準備をしてきた男が計画を実行し、成功する。しかしお粗末な後処理のせいで現場に戻ることとなり……。展開としてはよくあるサスペンスだが、事前準備に力を注いでいたくせにどうしてそれを忘れるのか? と首を傾げてしまうストーリーは賛否両論だろう。動転していると言えばそれまでだが、ある場所から出る為に試行錯誤する様もスマートには見えない。視点が変化しながら様々な姿が映し出される演出が目立ち、気付けば主役も代わっている。面白いのは確かだが、色々と理不尽で納得しにくい箇所はあった。悪くはないものの、サスペンスに完璧さを求める者には物足りない作品だろう。

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原題: Stranger Than Fiction
112分

 どの作品にも欠かせない存在というものはある。誰もが魅了される愛しいヒロイン? 知恵と狡猾さで観客を苛立たせる憎たらしいライバル? 違う。彼らは存在しなくとも成立する。当たり前すぎて忘れてしまうが、作品に欠かせない存在といえば主人公である。主人公が存在しなければ作品には何の展開もない。ただ地球を写しているだけの映像であれば、主人公は地球そのものだろう。机の上にあるだけのボールペンですらも、そのものを捉えていれば主人公である。

 この作品における主人公はハロルド・クリック。規則正しい生活を送る一人の人物でしかない。彼はいつも通りに生活していたが、ある時からふと声が聞こえるようになる。その声が自分の行動を細かく描写することに気付き、彼はこの声の正体を突き止めようとするが……聞きたくも無かった言葉を聞いてしまい、自分の運命から逃れようと奔走する。

 私たちは意思を持ち、自身の選択によって行動するだろう。空腹だと思えば食事を……いや、あえて空腹のままでいるかもしれない。トイレに行きたくても我慢する人だっているだろう。誰がどう選択しようと、それは当人の自由である。勤務中に仕事をしなければ注意もされるだろうが、休暇中に遊んでいようが何も言われない。私たちは人生を送り、道を選び続けるのだ。

 だがもし、自分の行動が誰かの意思によって決められていたら。そう考えるとぞっとしてしまう。なんとなく選んだ珈琲も、誰かがその珈琲を飲むように仕向けたのかもしれない。自分の意思で諦めた道も、本当は諦めなくて良かったのかもしれない。そこに自分の意思はなく、誰かの筋書きで動かされているのだとしたら……そう思うと、何もかもが信じられなくなる。

 本作の主人公は声に気付き、自分の運命を知った。だからこそ自ら運命を切り開こうと今までに無い行動を取り始めた。ナレーションと主人公の行動。同じようなテイストのゲームに『The Stanley Parable』というものがある。こちらはナレーションと違う行動をとると天の声が牙を剥く。本作とは無関係だが、興味があれば是非遊んでみてほしい。

 この感想を読んでいる者も、恐らくは自分の意思で文章に目を通しているのだろう。けれどもそれを保証する者はおらず、確信を抱くのも難しい。今文章を認めている私自身ですら信用は出来ない。考えれば考えるほどに恐ろしくなる、主人公である自分自身の人生。果たしてその人生は誰が描くものなのか。決まり切った人生に疑問を抱いた時、この作品に触れてもらいたい。

1102文字 編集

原題:The Foreigner
110分

 テロに巻き込まれて娘を失ってしまった中華料理店の経営者クァン。彼は首謀者への復讐を考え、名前を知りたがる。しかしそう簡単に名前を教えてもらえるはずもなく、クァンの行動は過激になっていく。観客も途中から明らかに普通じゃないと気付き始め、なんだこの老人は……と思い始めたところで正体を知る。ネタバレではあるが、彼がただの経営者だとは思えないだろうから書いてしまおう。クァンは元工作員だったのだ。

 ここまで書いてしまえば映画好きなら想像できる通り、クァンは年齢を感じさせない身体能力と知識で恐ろしいほどの行動力を発揮する。テロの首謀者が誰なのか。クァンはこのままどこまで暴走してしまうのか。彼がやられてしまう展開は一切想像できないまま、物語は複雑そうに見せて意外にもシンプルな構造のまま進行していく。

 色々と捻ってはいるものの、アクション映画の枠からは出ないまま本作は終わる。何らかのはっきりした結末を求めている者には物足りないまま幕を閉じてしまうので、消化不良だのなんだのと文句を言いたくもなるかもしれない。007シリーズで知られるピアース・ブロスナンと、アジアのアクション映画では説明不要のジャッキー・チェン。彼らの演技を楽しむのが本作の醍醐味ではないだろうか。残念ながらアクション要素はジャッキー・チェンにしかないが……。

 ちなみに本作で登場する組織や名称等には実在するものがあり、恐らくはそういった歴史的背景を知っていれば更に深く楽しめるだろう。とはいえそこまでの知識がない私でもアクション映画として楽しめたのだから、わざわざ調べて知識を身につける必要もない。どちらかの俳優が好きで、アクションが観たい。そんな理由でもいいから、気負わず楽しんで欲しい一本だ。

773文字 編集

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説明

 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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