カテゴリ「名作」に属する投稿(時系列順)[44件](3ページ目)

原題:Day of the Dead
102分

 数少ない人類はゾンビだらけになってしまった世界で地下の施設に籠もって生きていた。生き残りの人類を捜したところで結果は奮わず、現れるのはゾンビばかり。疲れ切った状態でもまた別の仕事をさせられる上に失敗しては殺されかける。そんな極限状態ではまともな話し合いもできずに互いのストレスだけが増えていく。それでもローガン博士は意味があるのかもわからない研究を続け、サラは頭を抱えていた。

 唯一の女性で比較的まともなサラが振り回される描写が目立ち、ゾンビの脅威そのものは比較的抑えめなままストーリーは進む。とりあえず侵入さえ防いでいればなんとかなるゾンビよりも、互いに共同生活を営んでいる人間の方がよっぽど恐ろしいというのはなんとも皮肉な話だが、今の時代でもゾンビ物でそういう描写は多い。きっと人間こそがレジェンド級の化け物なのだろう。

 だが最初は敵ですらない印象を与えていたゾンビも、徐々にその優れた能力を発揮していく。博士の研究は狂っているようにも見えたが、その研究は実を結んでいたのだ。理性や自我を持たず、視界に入ったものを襲うだけと思われていたゾンビが徐々に学び、過去の記憶から行動する。それは信じられない結果であり、恐ろしく不気味なものでもあった。だからこそゾンビを、そんな研究を続ける博士までもを嫌悪する兵士が出てきてもおかしくないのだ。

 最初は思っていたよりもスプラッター要素が少なくて落胆していたが、ゾンビが暴れ出すとそんな気持ちもなくなった。生きたまま焼かれたり体を裂かれたりと血みどろのシーンには否が応でもテンションが上がる。もしこれが善人寄りの人物であれば嫌な気持ちにもなるのだが、酷い目に遭うのは酷い輩ばかりである。憎たらしい人物が苦しむ度についついゾンビの応援をしたくもなるというものだ。

 ただそんなやつらでも最低限の良心は残っているのか、もしくは兵士としての誇りかは分からないが、唯一の女性で顔立ちも整っているサラを襲わなかったという点については評価できる。それに個人的な好き嫌いで出てきた兵士を全員敵視していたが、とんでもなく酷い人物は一人しかいない。まあ彼がヘイトを集めすぎていた気はするが……ゾンビ三部作の中で一番好きなものはと聞かれたら、私は本作を挙げるだろう。

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原題:Joker
122分

 アーサーはコメディアンになるという夢を持ち、ピエロの仕事をしていた。しかし若者に襲われてしまい、宣伝用の看板を壊されてしまう。看板を返すようにと上司から言われて説明をしても信用してもらえず、今度は別件でやらかしてしまったせいで仕事を失ってしまった。失うものがなくなったアーサーは再び別の連中から襲われた結果、我を忘れて拳銃を取り出し……。

 『バットマン』シリーズの人気ヴィランであるジョーカーの過去を描いたストーリー……というテイストではあるが、これまでの世界観や設定とは特に関係ない作品。こういう人がこんな扱いを受けたらいつかジョーカーになるんだ、と思いながら観る全くの別物なのである。つまり名前だけ借りた一つの独立作品と考えていいだろう。

 監督はトッド・フィリップスで、『ハングオーバー!シリーズ 』の監督でもある。ひたすらふざけた映画を撮る人かと思いきや、社会的な要素や政治的要素、残酷な描写(これはハングオーバー!でもあったが)もしてしまう多彩な監督だった。ただ本作を観た後だと、じゃああの続編の類いももうちょっと面白くできたんじゃないかと思ってしまう。

 辛い生活に加えて現実と見紛う妄想癖まであり、作中でもどこからが妄想なのか判別が難しく、極端な話をすれば何もかもが妄想なんじゃないかとも考えられる。最初の出来事からしてなかなか捕まらないのが不思議で、あの肉体にしては強すぎると思う場面もあったが、カリギュラ効果がすこぶる元気な映画で意外性こそが本領のような作品でもあった。

 彼は弱者でなければならず、弱者が強者に立ち向かうために最低限の強さと武器が必要になる。それがアーサーなのだろう。日本ではなかなかどうしようもない状況を外的要因で変える異世界転生モノがそこかしこに蔓延っているが、この映画が流行るということはベースをそのままにハリウッドで作り直せば大抵ヒットするんじゃなかろうか。

 小さい突っ込みどころはあるものの、王道で安定した面白い映画だった。

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原題:Ocean's Eleven
116分

 服役を終えたオーシャンは、仮釈放中にも関わらず大胆かつ緻密な大犯罪を実行しようと考える。しかし一人ではどうしようもないため、次々と様々な犯罪者を集めて虎視眈々と準備を進める。各計画ごとに適した人材を配置し、後は実行の日を待つのみ……だったが予想外のアクシデントも発生してしまった。それでも彼らは半ば強引に予定通り計画を実行に移すのであった。

 かなり古い映画の『オーシャンと十一人の仲間』をリメイクした作品で、この作品自体ももう今となっては二十年前の旧作となる。それゆえにどちらを先に観るべきかと悩みもした。先に本作を見ればオリジナルが物足りなくなるかもしれないし、オリジナルから観ようにも今となっては退屈かもしれない。とまあ悩みに悩んで気付けば数年の月日が経っていた。

 このままだと一生観ないだろうと判断し、とりあえず本作を選んだ。主要なキャストに好きな俳優が集中していたのが決め手になったのである。それで実際に観た感想はというと良かった。それぞれが持ち味を発揮して活躍するのは『メジャーリーグ』のようで、
完璧な犯罪を見せつけられる知能ドラマとは違った方向で楽しめた。

 残念ながらあっと驚く要素は少なく、カメラの使い方なんかも仕掛けにすぐ気付いてしまった。知能犯罪ではあっても、それは大胆だから気付かれにくいというものばかりで、もし被害者連中に一人でも賢い人物がいれば、ここまでスムーズには終われないだろう。爽快感と達成感はあるが、オチは弱い作品だったように思う。

 様々な要素が何回も出てきたせいでインパクトが弱くなってしまった気もするが、十分面白いのは間違いない。ただこういうストーリーだと大事な要素は出し惜しみしてくれた方がいい。これまた古いが『スティング』を観た時はしてやられたと感心したものである。とはいえ今から続編が楽しみで、明日には観てしまいそうなほどだ。はてどうしたものか……。#オーシャンズシリーズ

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原題:Overboard
112分

 豪華な船で自由気ままに生きるレオナルド。彼は働こうともせず快楽のみに時間を費やしていた。ところが清掃員のケイトと出会ったり、うっかり船から落ちてしまったりと偶然が重なって一緒に暮らすことになる。レオナルドは妻を騙るケイトの夫として。ケイトは復讐のためにレオナルドの妻を演じる日々が始まるのだが、共に生活を送る中で二人の心境も変わっていくのであった。

 むかつく男を懲らしめてやる。ついでにこいつが原因で発生した損害もなんとかしてもらおう! という理由で偽装家族生活が始まるという作品。まあ確かにレオナルドはひどい性格をしている。しかしその振る舞いは性格が悪いというよりも、大人になりきれていないというもの。彼は子供のまま成長する機会がなかったのだ。だからといって横暴が許されるわけもないのだが。

 ケイトもケイトで相手が記憶喪失なのをいいことにやりたい放題である。書類を偽造する時点で危険極まりなく、夫だからと奴隷のようにこき使う。子供もケイトに付き合って家族のふりをするのだから恐ろしい。当然ながらレオナルドも不平不満を漏らすが、納得できなくともケイトや子供に手を出そうとはしない。やはり根はそう悪くないのだ。

 さらにレオナルドは人として成長していく。家事なんてしたこともなかった男が料理に目覚め、子供の成長を手助けする。最初は利用してやろうとしか考えていなかったケイトらも次第にレオナルドという男に惹かれ、家族として受け入れていくのだ。基本的にはコメディのノリで進むものの、ストーリー自体はきちんとロマンスであり、ファミリー映画でもあった。

 とはいえケイトとレオナルドの間に婚姻関係なんてものはなく、彼は記憶喪失のままである。記憶喪失のまま幸せに暮らす……なんて展開を想像する者は居ないだろうから書いてしまうが、彼も記憶を取り戻す時がくる。それがいつなのか。彼らの家庭はどうなるのか。展開はある程度読めるとしても、笑えて泣ける非常によくできた好きな映画の一つだ。

867文字 編集

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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