No.178

原題:Liar Liar
87分

 フレッチャーは有能な弁護士だ。しかし優れた父親ではなかった。妻とは別れ、子供のマックスを溺愛しているものの仕事を優先して約束を破ってばかりいる。マックスも父親を愛しているのだが、誕生日までそれでは納得できない。そこで彼は「パパが嘘をつきませんように」と祈る。するとその願いは叶ってしまい、フレッチャーは嘘をつくことができない状態で嘘まみれの浮気女の弁護に向かう……。

 嘘を吐けない。たったそれだけの要素でキャラクターとストーリーが出来上がっている。監督と役者の演技があってこその映画で、同じ脚本があったところでこれだけ楽しめるかは微妙だろう。基本的にはコメディだがホームドラマでもあり、家族の素晴らしさを堪能できる。嘘自体は簡単だしうまく使えば役にも立つ。けれどもそれに頼ってばかりでは幸せになれない。フレッチャーはたった1日でそのことを理解する。

 嘘を吐かずに危機を乗り越える方法というものはなかなか見つからない。トラブルに巻き込まれてもっともらしい言い訳をする機会を期待するか、自身の成長で乗り越えるしかないのだ。そこで彼はトラブルを演出し、嘘を吐かずに切り抜けようとする。その光景を見ていれば頭の問題だと判断されて切り抜けられる気もするが、彼はどうにかこうにか乗り越えてみせる。ここに見た目とは裏腹な優秀さを感じ取ることが出来た。

 そんな人物でも嘘という武器を奪われるだけでとんでもない苦労をしてしまうのだ。もし優秀でもなんでもないいわゆる普通の人から嘘を取っ払ってしまったら……きっと人生は酷いものになるだろう。ERで知られるモーラ・ティアニーの愛らしさも魅力的だが、マックスを演じるジャスティン・クーパーもいい。ワガママさが不足しているものの、子供の魅力を全身から伝えてくれる。これは嘘吐きにこそ観て欲しい名作だ。

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