No.202
原題:El hoyo
94分
男は目を覚ます。そこには無機質な部屋があり、中央には大きな穴が空いている。その穴は天井と床にあり、上下に存在する部屋にも同様の穴が続いていた。この穴は何だろう。どこまで続くのだろう。そんな疑問を浮かべていたが、奇妙な同居人ははっきりとした答えはくれない。同居人は上層から降りてきた食事を平らげながら男に尋ねる。食べないのか? と。
謎しかないまま進むストーリーで、主人公のゴレンは警戒心が強く気難しそうな男だが同居人のトリマカシとも割とすんなり仲良くなる。ただそれは親しくなっただけで謎は全く解決していない。謎を明かす鍵も特にないまま進むおかげで、この先どんな展開を迎えるのか、何が目的の施設なのかと想像しながら期待以上に楽しめた。
全く同じとまでは言わないが、個人的に昔考えた企画で似たようなものがあった。それはここまで階層が細かくはなく上中下のたった三層ではあったものの、一定期間ごとの投票形式で住む階層が入れ替わるというものだった。結局面白く描ききることができずに企画自体が無くなったのだが、こういう人間のいやらしさや本能といったものを描けばよかったのだと痛感させられた。
しかし本作が完璧だったかと言えばそうではない。結局色々と投げっぱなしだった印象も強く、中にはそういう結末が好きだという者も居る。だが伏線やそれまでの出会いが繋がっていくのは非常に良かっただけに、どうしてもそれら全てをまとめ上げて幕を閉じて欲しかったのだ。限りなく名作に近い佳作。雰囲気は最高だった。
94分
男は目を覚ます。そこには無機質な部屋があり、中央には大きな穴が空いている。その穴は天井と床にあり、上下に存在する部屋にも同様の穴が続いていた。この穴は何だろう。どこまで続くのだろう。そんな疑問を浮かべていたが、奇妙な同居人ははっきりとした答えはくれない。同居人は上層から降りてきた食事を平らげながら男に尋ねる。食べないのか? と。
謎しかないまま進むストーリーで、主人公のゴレンは警戒心が強く気難しそうな男だが同居人のトリマカシとも割とすんなり仲良くなる。ただそれは親しくなっただけで謎は全く解決していない。謎を明かす鍵も特にないまま進むおかげで、この先どんな展開を迎えるのか、何が目的の施設なのかと想像しながら期待以上に楽しめた。
全く同じとまでは言わないが、個人的に昔考えた企画で似たようなものがあった。それはここまで階層が細かくはなく上中下のたった三層ではあったものの、一定期間ごとの投票形式で住む階層が入れ替わるというものだった。結局面白く描ききることができずに企画自体が無くなったのだが、こういう人間のいやらしさや本能といったものを描けばよかったのだと痛感させられた。
しかし本作が完璧だったかと言えばそうではない。結局色々と投げっぱなしだった印象も強く、中にはそういう結末が好きだという者も居る。だが伏線やそれまでの出会いが繋がっていくのは非常に良かっただけに、どうしてもそれら全てをまとめ上げて幕を閉じて欲しかったのだ。限りなく名作に近い佳作。雰囲気は最高だった。
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