No.147

原題:Funny Face
103分

 世の中には平々凡々とした生き方を選ぶ者が多い。それには芸能界のような華やかな世界にはついていけないと思ったり、元々そういった世界に興味がなかったりとそれぞれの理由がある。この作品の主役であるジョーは自分が芸能界でやっていけるとは思っておらず、そういった職業自体に興味を抱いていない。しかしひょんなことから大役のモデルを任されてしまう。

 ジョーを演じる女優はオードリー・ヘプバーン。作中ではメイクをしてからその美貌を誰もが認めるのだが、本屋で働いているただの店員として登場した瞬間から誰よりも輝いている。この美貌に気付かない連中に一体何が分かるのかと文句を言いたくもなるが、もちろんその魅力に気付く者がいるおかげでモデルへの道が拓けるのだ。

 モデルになったジョーと写真家のディック。そして編集長であるマギー以外は目立たないが、コミカルな動きのミュージカルと合わせて終始心地よい気持ちで三人の姿を見ていられる。展開はありきたりとも言われそうなものだが、無駄のない演出と地味になりがちな箇所でのミュージカルが飽きさせない。特にカフェでのダンスは色々な意味で凄い。

 脚本の面白さに加えてミュージカルの楽しさ。オードリー・ヘプバーンの美しさにフレッド・アステアのダンスと本作の魅力は多い。ケイ・トンプソンもありがちな作品ではひたすら性格の悪い役になりがちだが、少し癖が強いだけで良い性格をしている。魅力的な三人の異なる個性は相乗効果を産み出し、良質な世界観を作り出す。間違いなく今でも楽しめる良い作品である。

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 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

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