No.154

原題:내가 살인범이다
119分

 チェ・ヒョングは連続殺人犯の事件を捜査していたが、危うく殺人犯に殺されかける。しかし命までは奪われずに、その恐ろしさと強かさを宣伝する広告塔として生かされることとなる。それから17年の月日が流れ、ある日真犯人を名乗る男がメディアに姿を現して事件内容を赤裸々に描いた本を出版するという。当然ヒョングは画面に映る男を睨み付けるが既に事件は時効を迎えており、彼を逮捕することは不可能だった……。

 チョン・ジェヨンが演じる野性的でワイルドな刑事のヒョングと、パク・シフのクールで謎めいた姿が対照的な殺人犯のイ・ドゥソク。2人のやりとりが主軸であり、どちらかの性格や外見が合わなければ恐らく映画自体もいまいち楽しめないだろう。個人的には本作のジェヨンが昔働いていた会社の社長にそっくりで、「社長すげえ!」「社長強い!」と変な感覚を抱きながら観ていた。そういえばあの社長も酒浸りだったなあ。

 ちなみにこの映画、韓国で実際にあった未解決事件からインスピレーションを得ている。その事件を題材にした他の映画としては『殺人の追憶』というものがあり、こちらも気になってはいるが観ていない。他にも本作をリメイクした邦画に『22年目の告白 -私が殺人犯です-』もある。評判は悪くないが、リメイクということでどちらかを見たらどちらかを純粋に楽しめなくなる。残念ながら邦画は観ないまま終わるだろう。

 それでは感想に戻ろう。はっきり言うと最初は単なる刑事の復讐劇と思っていた。しかしそれぞれの思惑やストーリーが絡み合って深みのある展開が待っており、想像以上に丁寧な脚本を楽しめた。随所に入るアクションもそれなりに見応えがあり、コメディ要素は良くも悪くも印象的だった。『コンジアム 』でつのった不信感を払拭するだけの力はある。それに『新感染 ファイナル・エクスプレス』よりは人に勧めやすい。

 余談だが社長に似ているという私の感想は共感を得られないだろうが、真犯人を名乗る人物の姿がお笑い芸人の誰かさんに似ているという感想は共感を得るかもしれない。途中まではぎりぎり別人に見えていたのだが、生物としての気持ち悪さが強く出始めると髪型と表情が気になり始め、私もラッセンが好きだと余計なことを口走りそうになった。癖の強い女学生もタンポポを思い出してしまい、妙な気持ちになる。

 アジア映画だから日本人の誰かに似ているという感想を抱いてしまうのが欠点ではあるが、映画そのものは純粋にエンタメとして、サスペンスとしてもしっかり楽しめる。思いのほかアクションが多く、引きでピンボケ気味に写せばいいものをしっかり写すせいで違和感の目立つ3DCGも気になるが、そこはもう目を瞑るしかない。どんな駆け引きを経てどう結末を迎えるのか。その一点に集中しよう。

1185文字 編集

複合検索

  • 投稿者名:
  • 投稿年月:
  • #タグ:
  • カテゴリ:
  • 出力順序:

説明

 洋画中心。最低でも週に一本はレビューするつもりで定期更新。※現在は創作や仕事に集中するため、ほぼ停止中。

 レビューを書き始める前に観た映画の一部リストはこちら。好みの参考にどうぞ。趣味が合う人は名作を、趣味が合わない人は迷作をチェックすると好きな映画が見つかるかもしれません。

編集

最近の投稿

現条件でのレビュー数

1件